Google Scholarを開くと画面が白く光ります。論文を読みたいだけなのに、長く見ていると目が疲れてくる。その一点を消すために作ったChrome拡張です。インストールするとGoogle Scholarの配色だけが暗くなります。設定はありません。
きっかけは研究室での目の疲れ
当時、私は大学の研究室で論文を探す毎日を送っていました。Google Scholarはよく使う道具でしたが、ライトモードしか用意されていません。白い画面を長時間見続けていると、だんだん目が疲れてきます。これをどうにかしたいと思ったのが出発点でした。
Chrome拡張はそれ以前から作っていたので、「これくらいならすぐ作れるだろう」と思えたのも大きかったです。困りごとがあったとき、自分で直すという選択肢が最初から手元にありました。
設定画面もオン/オフボタンも作らなかった
この拡張には設定画面がありません。オン/オフの切り替えボタンもありません。インストールした瞬間から、ただGoogle Scholarが暗くなるだけです。
できるだけシンプルにしたくて、そういうものは削りました。保守のことも考えた上での判断です。機能を足せばコードは増えますし、壊れる場所も増えます。やりたいのは論文を読むことであって、拡張の設定をいじることではありません。
オン/オフについても、わざわざ自分で用意する必要はないと考えました。使いたくないときは、ブラウザ側で拡張機能のオン/オフを切り替えればいいだけだからです。ブラウザにもともとある仕組みを信頼して、同じものを自分で作らない。シンプルさの理由は手抜きではなく、重複をなくすことにあります。
AIのない時代、CSSを一つずつ当てた
中身はCSSだけでできています。画面全体をフィルタで一括反転させる方法もありますが、それだと論文のサムネイルやアイコンまで色が反転して、かえって見づらくなります。そこでツールバーや検索ボックスといった部位ごとに、暗い配色を手で当てていきました。
当時はまだ生成AIがありません。ChromeのデベロッパーツールでHTMLを開き、要素のクラス名を一つずつ確かめては、対応するCSSを書いていきました。GoogleのHTMLはクラス名が短く意味を読み取りにくいので、この特定作業は地道なものでした。今ならAIに任せられる部分かもしれませんが、当時は手で一つずつ潰していくしかありませんでした。

「CSSを変えているだけ」だからOSSにした
作ったものは、同じ研究室の人にも使ってもらっていました。自分のために作ったものではありましたが、やっていることはCSSを変えているだけです。だから気負いなくOSSにして、Chrome Web Storeにも公開しました。使いたい人がいれば使ってほしい、くらいの気持ちでした。
その拡張が、公開から2年で4,000人に使われるまでになりました。
シンプルだけど、誰も作っていなかった
振り返って実感するのは、すごくシンプルなのに誰も作っていなかったから、これだけの人に使ってもらえたということです。複雑なものが求められているかというと、そうではありません。目の前の小さな困りごとを最短で解決する。それがそのまま、同じことで困っている誰かに届く。この拡張は、そのことを教えてくれました。




